徳川将軍家の元服儀礼と朝幕交渉
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- 吉田 昌彦
- 九州大学大学院地球社会統合科学府包括的東アジア・日本研究コース : 教授
書誌事項
- タイトル別名
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- The Ceremony of attaining manhood ritual and negotiation between the Court and the Tokugawa Shogunate
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説明
徳川将軍家の元服儀礼に関して検討したが、その結果は次のとおりである。①徳川将軍家の元服儀礼に関する朝幕交渉において、律令制的官位制度にもとづく有職故実・先例や家例が原理として貫徹していたこと。②官位叙任儀礼において天皇と将軍との間の君臣関係が確認できること。③徳川家光は、摂関家や鎌倉・室町両幕府の将軍家世嗣の元服例に倣った正四位中将の叙任と明らかに差がつく「直叙従三位直任大納言」、さらには「叡慮」による正二位への「推叙」により徳川将軍家が摂関家より明らかに優越する家格を確立したこと。④天皇を「王」とする「王権」システムにおいて徳川将軍家を天皇の下、最高の「権門」として確立している。⑤天皇や上皇が「御冠」「烏帽子」「御懸緒」を徳川将軍家に贈っていることは徳川将軍家の家格を上昇させていること。⑥国家システムとしての叙任権者は天皇であるが、「直叙従三位直任大納言」「推叙正二位」という官位を実質的に選択決定しているのは徳川家光であったこと。⑦「 直叙従三位直任大納言」「推叙正二位」という官位を実質的に選択決定しているのは徳川家光であるものの、この事象も、家光はいかなる「勢力」を有そうとも飽くまでも天皇の「君主」としての叙任を仰ぐ「朝臣」であるため、天皇を「王」とする「王権」システムの埒内にあること。
収録刊行物
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- 地球社会統合科学
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地球社会統合科学 23 (2), 13-27, 2016-12-25
九州大学大学院地球社会統合科学府
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390009224764725504
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- NII論文ID
- 120005971241
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- NII書誌ID
- AA12709917
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- DOI
- 10.15017/1792160
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- ISSN
- 24332453
- 21894043
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- HANDLE
- 2324/1792160
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可