タガログ語における行為者焦点動詞構文の統語的他動性について

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  • On the Syntactic Transitivity of Tagalog Actor-Focus Constructions

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本稿は,フィリピン言語学においてもっとも難しい問題の一つといえる,タガログ語の行為者焦点動詞構文の統語的他動性について考察する。この問題については,それが統語的に他動詞なのか自動詞なのか,長らく議論されている。この論文では次の二つの主張を行う。一つ目は,タガログ語の行為者焦点動詞構文は単一の均質なカテゴリーを形成するわけではなく,統語的にも意味的にも相異なる複数の構文からなっているということである。本稿が明らかにするように,ほとんどの行為者焦点動詞構文は自動詞節であり,本当にその統語的他動性を精査しなければならないのは逆受動タイプの行為者焦点動詞構文のみである。二つ目は,逆受動タイプの行為者焦点動詞構文が自動詞節である統語的証拠がいくつもあるということである。このタイプの構文の主格動作者名詞句が非行為者焦点動詞構文の動作者名詞句や被動者名詞句と同じように振る舞うのに対して,属格被動者名詞句はそうではない。こうして,二つの観察をあわせて,タガログ語の行為者焦点動詞構文は統語的に自動詞節であると分析するのが一番よいと結論づけることができる。

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