Compilation of a Corpus of Translated Works of the Mid-Meiji Era and Its Quantitative Analysis

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  • 近代口語文翻訳小説コーパス構築の概要と計量的分析
  • キンダイ コウゴブン ホンヤク ショウセツ コーパス コウチク ノ ガイヨウ ト ケイリョウテキ ブンセキ

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現代日本語書き言葉の原型となる近代日本語の口語文体は,言文一致運動という意識的な文体変革から大きく動き出し,第二期国定教科書の完成・普及によって確立したとされる。近年,この近代口語文体の確立において,欧米文学の翻訳行為が大きな影響を及ぼしたと具体的に論じられ始めた。より詳細にその影響を明らかにするため,明治中期(明治16~30年)に発表された翻訳小説6作品と明治後期(同31~44年)・大正期に発表された創作小説2作品のコーパス構築を行った。 本稿では,まず構築したコーパスの概要と,それらの文の長さや文書間類似度の調査結果を示し,明治中期から後期にかけての文体の類似性について指摘する。本稿の調査では,文の長さ(一文における文節数の平均)や品詞比率,MVR(Modifier Verb Ratio)では近似の値を示し,文書間類似度では特徴的な結果は表れなかった。ただし,一文に含まれる接続助詞数のばらつきを調査すると,時代が下るにしたがってばらつきが小さくなるため,やはり時代による差があることは明らかとなった。 本稿で用いた手法によると,明治中期の翻訳小説と近代口語文体確立期の創作小説とに類似性が見出せることを示すことができた。これは,明治中期の段階で近代口語文体に近い文が産出され,それが読み手の目に触れていたことを意味しており,欧米の小説を翻訳することによる日本語への影響を示すこととなる。

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