次元形容詞はどんなときに使われるか : 日本語とスペイン語の対照研究

書誌事項

タイトル別名
  • Dimensional Adjectives in Spanish and Japanese: Comparing the Use of alto and takai
  • ジゲン ケイヨウシ ワ ドンナ トキニ ツカワレル カ : ニホンゴ ト スペインゴ ノ タイショウ ケンキュウ

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説明

次元形容詞として,日本語には「高い」が,スペイン語には「alto」がある。「あの弁護士は背が高い」のように,日本語では次元的意味を表出するために二重主語文の構造が必要となる場合がある。一方,「alto」は興味深い通時的意味変化を遂げた多義語であるが,「高い」のような文法的制約を持たない。これらの形容詞の多義の表出について,文法と意味の関係から考察をまとめ,その使われ方の相違を対訳本の調査から分析する。一方の言語で高さを表す形容詞表現が,叙述用法ないし修飾用法で使われている場合に,もう一方の言語でどのように表されているかを観察し,日本語とスペイン語の高さを表す表現の違いを明らかにする。調査の結果,「高い」の使用には叙述用法が多く数えられた。対して「alto」は,修飾用法による次元性以外の意味表出の使用が目立った。日本語の次元的な意味の表出に,二重主語構文にかかる換喩の特性が関わっていることを指摘し,様々な文法現象の成立にかかる換喩現象が,日本語とスペイン語の形容詞の意味表出にも関わっていることを提言する。このことから,それぞれの言語の異なる語彙で,共通の枠組みが表現に反映されていることを考察する。また,形容詞の類型論的分析には研究の蓄積があり,日本語の叙述傾向と印欧語の修飾傾向が示されている。本研究では多義性の観点からこの傾向の成立を再考する。

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