引喩と暗喩(二) : 源氏物語における白氏文集、「上陽白髪人」など

書誌事項

タイトル別名
  • Allusion and Metaphor (II) : The Hakushimonjū (Po Chui Collection) in the Tale of Genji The Old Woman of Shangyang and Others
  • 引喩と暗喩-2-源氏物語における白氏文集,「上陽白髪人」など
  • インユ ト アンユ 2 ゲンジ モノガタリ ニ オケル ハクシ ブンシュウ ジ

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抄録

この論文は『源氏物語』が『白氏文集』をどのように引用するかを考察する。  一 「帚木」に引用された「上陽白髪人」は男女の関係にひそむしがらみを強調しようとしたものである。  二 「賢し木」に引用された「上陽白髪人」は御息所の空閨の怨みを述べようとしたものである。  三 「幻」に引用された「上陽白髪人」は紫の上を失った光源氏の閨の嘆きと、紫の上に上陽人の美しさを重ねるためのものである。  四 「竹河」に引用された「上陽白髪人」は『源氏物語』冒頭と呼応する入内談における嫉妬を語ろうとしたものである。  五 「玉蔓」に引用された「縛戎人」は貧困な人々の悲しみを暗喩しようとしたものである。  六 「若菜上」に引用された「驪宮高」は源氏の決意がわが子を有徳者たらしめる構造を訴えようとしたものである。  七 「賢木」に引用された「両朱閣」は華やかな世界からの変転を語ろうとしたものである。  八 「幻」に引用された「牡丹芳」は牡丹の美を紫の上に重ね、一方光源氏を批判したものである。

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