藩士の鷹場と地域 : 尾張藩士横井家を事例に

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • The Hawking Grounds of Feudal Retainers and Area : A Case Study on the Yokoi Family in the Owari Domain
  • ハンシ ノ タカバ ト チイキ : オワリ ハンシ ヨコイカ オ ジレイ ニ

この論文をさがす

抄録

鷹場と、そこに住む民衆の生活はどのように関係していたのだろうか。鷹場領主権と地域の生業という視点からこの問題を扱った研究はほとんどないのが現状である。そこで、本稿においては、尾張藩家臣横井家の鷹場(現愛知県愛西市)を事例にして、この問題の検討を行った。まず横井家に鷹場が与えられた経緯を検討した上で、横井家をめぐる服喪が鷹場に与えた影響、さらに村方の生業と鷹場の関係の分析を行った。その結果、明らかになったのは以下のことである。鷹場において、民衆による狩猟は禁止または制限を受けるものであり、横井家鷹場においてもそれは同様であった。しかし、実際には漁猟は勿論のこと、烏猟についても一定の条件の下で許可されていたのである。その主眼は窮民の生活保障であった。そのため、横井家当主らの死去にともなう服喪においては、横井家が狩猟を控えている期間よりも早く、民衆側は狩猟を許可される配慮がなされていた。さらに、領主の漁猟にあたって「打網」などを定雇とすることによって、鷹場は地域の人々の生業補助の役割も果たしていたと考えられる。総括すると横井家の鷹場では民衆の生業維持が第一に考えられており、こうした一連の施策は、鷹場領主としての「御救」行為の実践として捉えるべきものと結論した。

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ