対話の原型と対話原理の原点 : 「生活のなかの言葉と詩のなかの言葉」におけるイントネーション

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タイトル別名
  • The original model of dialogue and the origin of dialogism : Intonation in “Discourse in life and discourse in poetry”
  • タイワ ノ ゲンケイ ト タイワ ゲンリ ノ ゲンテン セイカツ ノ ナカ ノ コトバ ト シ ノ ナカ ノ コトバ ニ オケル イントネーション

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抄録

学術論文

バフチンの対話原理は、言語哲学の側面と文芸研究理論の側面を有しており、両者が渾然一体となっている。本稿は、言語哲学の側面を中心に対話原理を探究する試みの一部である。本稿では、バフチンが生活の中の言葉の社会的交通性を綿密に論じ、文学の中の言葉もそのように社会的交通にあるものとして芸術(文学)の社会的交通論を展開している「生活のなかの言葉と詩のなかの言葉」(バフチン,1926/2002)を採り上げるが、主に生活の中の言葉の社会的交通論に注目して、バフチンの議論を再解読する。同論考でバフチンは、イントネーションに注目し、生活における社会的交通は「コロス」に支えられたイントネーションの要因と「符牒」としての発話の要因が関与したヒューリスティックスとして運営されていると説明し、イントネーションが聞き手への志向と語られている対象への志向を生み出している事情を論じて、生活の中の言葉の社会的交通論を提示する。バフチンの発話の社会的交通論は十分に説得的ではあるが、イントネーションと発話に基づくヒューリスティックスと生活(ロシア語では“жизнь”)の関連が十分に論証されていない。本稿では、その主要な論点として、バフチンが論じるイントネーションに注目し、言葉を載せて運ぶ、生きることの息吹を内包したイントネーションが、われわれを物質的な領界から脱して人として生きる社会文化的領界に導いて、その世界で一つの人格として生きることを可能にしていること指摘する。

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