日下部鳴鶴と杉聴雨の漢詩の応酬 ―東宮・嘉仁親王の彦根城行啓を讃えて―

書誌事項

タイトル別名
  • The Exchange of Classical Chinese Poetry Between Kusakabe Meikaku and Sugi Ch?u : Composing Poems in Praise of Crown Prince Yoshihito’s Visit to Hikone Castle
  • クサカベメイズル ト スギチョウウ ノ カンシ ノ オウシュウ : トウグウ ・ カジン シンノウ ノ ヒコネジョウ ギョウケイ オ タタエテ

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抄録

明治大正期の官僚であった杉聴雨が、明治三筆の一人である書法家の日下部鳴鶴に宛てた毛筆書簡幅がある。この書簡の末尾には、鳴鶴から贈られた詩に次韻した詩が認められている。この次韻詩の原詩をつきとめ、原詩と次韻詩の内容を分析し、詩が詠じられた背景をさぐった。その結果、この二首の詩は、東宮である嘉仁親王(のちの大正天皇)が彦根城に行啓されたことを讃えた内容であることが判明した。原詩では親王が城山の迎春館に立ち寄られたこと、次韻詩では「迎春好乞親王筆、扁額高懸麝墨光」(親王よりご染筆を賜って扁額を懸けたら素晴らしいだろう)という句が、それぞれ詠み込まれている。この句は、当日親王が迎春館から琵琶湖を見下ろして五言古詩「望湖」を詠ぜられた事実を踏まえて作られたものと考えられよう。しかし、残念ながら、親王の御染筆を賜るという願いは実現しなかったようである。

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