要介護度改善と成功報酬

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タイトル別名
  • Pay-for-Performance for Improving Level of Care of Long-Term Care Insurance Recipients
  • ヨウカイゴド カイゼン ト セイコウ ホウシュウ

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抄録

本研究は,介護事業者が質の良いサービスを提供して利用者の介護状態が改善すると介護報酬が減ってし まうという介護保険制度の自己矛盾を問題意識とし,介護サービス利用者の要介護状態の改善と自立支援に 取り組む介護事業者の努力を評価するための成功報酬の導入の必要性について提言するものである。 本研究では介護保険制度の枠外で介護事業者に対するインセンティブ供与を目的とした複数の自治体の成 功報酬の導入に向けた取り組みを通して,介護保険制度における成功報酬の導入の有効性を検証した。研究 の結果,成功報酬導入の効果として,要介護度,ADL 及びIADL,QOL の維持・改善による利用者の自立促進, 介護職員の意欲やモチベーションの向上,要介護状態の改善・維持を目指した利用者やその家族の行動変化 などの効果があることが明らかになった。付随的な効果として,介護保険料の上昇率の抑制,介護保険給付 費の抑制なども期待できる。介護保険制度における成功報酬は,利用者に対する介護事業者の自立支援を評 価するとともに,増え続けている介護保険料や介護給付費の膨張を抑える意味でも導入する価値がある。

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