Nation" and "Nationality" : From the Social Reform Movement at the Outset of the 20th-Century in New York's Immigrant Districts by Chinese Immigrant Women

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  • ニューヨーク移民街における中国人移民女性の社会改革運動にみる20世紀初頭の「ネーション」と「ナショナリティ」の諸相
  • ニューヨーク イミンガイ ニオケル チュウゴクジン イミン ジョセイ ノ シャカイ カイカク ウンドウ ニ ミル 20セイキ ショトウ ノ ネーション ト ナショナリティ ノ ショソウ

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本稿は、20世紀初頭のニューヨーク移民街における中国人移民女性による社会改革運動を取り上げ、彼女たちの運動にみられた「ネーション」と「ナショナリティ」の関係を、当時のアメリカの社会再編の文脈から考察するものである。中国人移民は1882年の排華移民法によって、アメリカではじめて国籍による移民制限と、「帰化不能外国人」の指定を受けた移民であった。また、19世紀末の都市モラル改革以降、20世紀初頭の「アメリカ化運動」においても、中国人移民は「一移民」と「異人種」との間を行き来する不安定な存在であった。改革指向の中国人移民は、彼らを取り巻く問題の原因を、中国人移民の「市民的性質」の程度と出身国の「近代化」の程度にあると捉え、祖国救済運動及び地位改善運動を展開していく。なかでも改革指向の女性たちは、文化多元主義的方針を掲げていたYWCAのインターナショナル・インスティチュートの支部をチャイナタウンに設立し、中国人移民女性に対する社会・教育活動を行っていった。そこで彼女たちが試みたことは、中国人女性の「市民としての資質」の向上と、エキゾチシズムに陥らない形の新たな「民族性」の構築であった。それは欧州からの移民にみられた原初的・伝統的な「ナショナリティ」とは異なる、構築的かつ近代的な中国人「ナショナリティ」を通じて、多元主義的なアメリカの社会再編運動に参加することでもあった。

Journal

  • 年報人間科学

    年報人間科学 21 265-286, 2000

    大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室

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