「平和の人類学」の射程 : ソロモン諸島の「エスニック・テンション」を事例に暴力回避と紛争解決を考える

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • The Scope of “Anthropology of Peace” : A Case Study of “Ethnic Tension” in the Solomon Islands.
  • ヘイワ ノ ジンルイガク ノ シャテイ ソロモン ショトウ ノ エスニック テンション ヲ ジレイ ニ ボウリョク カイヒ ト フンソウ カイケツ ヲ カンガエル
  • 「 ヘイワ ノ ジンルイガク 」 ノ シャテイ : ソロモン ショトウ ノ 「 エスニック ・ テンション 」 オ ジレイ ニ ボウリョク カイヒ ト フンソウ カイケツ オ カンガエル

この論文をさがす

抄録

本稿では、民族誌調査に依拠しながら議論される平和の研究群、言い換えれば「平和の人類学」と呼びうる研究群を概観し、到達点と諸課題を吟味する。平和の人類学の到達点は以下のふたつである。第一に、一見すると静態的な平和状態がいかにダイナミックな社会的プロセスによって成り立っているのかを民族誌調査に基づいて明らかにすること。第二に、紛争と平和とを連続的な社会的プロセスとして捉え、両者の動態的な関係を考察すること。ただし、これまでの「平和の人類学」は研究対象を非暴力的で平和な社会に限定する傾向があった。しかし、民族誌調査に基づいて平和を考えるためには、紛争や暴力状況をも視野に入れた研究が不可欠である。平和の人類学の限界を乗り越えるべく、ソロモン諸島において生じた「エスニック・テンション」と呼ばれる紛争を取り上げる。臨地調査に基づいて、「エスニック・テンション」の渦中にあって暴力に巻き込まれることを回避したガダルカナル島の人びとの生存戦略と、「エスニック・テンション」を解決するための試みを提示する。そして、これらの事例分析を通じて、平和の人類学の射程を検討する。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 35 107-126, 2014-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ