日本語関係節の成立要件(1) : 先行研究の整理とその問題点

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タイトル別名
  • ニホンゴ カンケイセツ ノ セイリツ ヨウケン 1 センコウ ケンキュウ ノ セイリ ト ソノ モンダイテン
  • Analysis of Noun-Modifying Structures in Japanese I : Syntactic and Pragmatic Problems

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説明

多くの言語において、名詞を節によって修飾するという現象が見られる。これを本稿では、広い意味での「関係節」と定義する。関係詞と呼ぶべき単語や形態素が存在する言語では、関係節は形態的な基準でかなり明確に定義できるが、日本語の場合は、関係詞に相当する機能を持つ語や形態素は存在しない。唯一形態的な特徴と言っていいのは、伝統的な国文法で「連体形」と呼び慣わしてきた活用形式であるが、これも動詞や形容詞では辞書形(終止形)と形態上の差異がなく、いわゆる形容動詞の連体形で「静かな街」のように「な」が用いられているに過ぎない。本稿の基本的な関心は、関係節を成立させる条件を明確にすることである。以下で述べるように、節修飾と語修飾が連続的な関係にあると考えられる日本語の場合、修飾における《節》というものをどう考えるべきか明確にする必要がある。加えて、日本語の関係節における底の名詞と関係節は、格関係では定式化できない要素が多い。また、格関係以外にも関係節の成立に関わる条件がいくつか考えられる。本稿では、これらの点を議論する予備的作業として、先行研究を整理し、それぞれの問題点を明確にしていく中で、関係節の分析に必要な論点を明らかにすることに主眼を置く。

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