油圧比例弁の微小流量域におけるスプール制御 : DSPによるデジタル外乱オブザーバの適用

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タイトル別名
  • A spool control in the range of the flow rate of a hydraulic proportial valve : Application of a digital disturbance observer
  • ユアツ ヒレイベン ノ ビショウ リュウリョウイキ ニ オケル スプール セイギョ DSP ニ ヨル デジタル ガイラン オブザーバ ノ テキヨウ

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type:Article

A high accurate servomechanism uses a servovalve. But this valve is expensive and weak in contamination. In stead of this valve, a proportional valve has often been used though this is inferior to the former in the quality.The spool in this valve can not responed to weak input because the solenoid force is small. In this research, a digital observer is applied to conquest this weak point of the proportional valve. The observer is for disturbances such as flow force and friction, and a digital type using DSP. It is conbined with this valve. As a result, static and dynamic characteristics of this valve were improved by this observer theoretically and experimentally. The displacement of spool was improved to the range of 0.5% of prescribed valve. (It is equal to 5 JL m displacement.)

高度な制御性を求められる油圧駆動機構の油圧制御弁として電気・油圧サーボ弁がよく用いられる。現時点でこの種の用途にサーボ弁が最も優秀な性能を持つことは衆知のとおりである。しかし,この弁は製造上の加工精度が要求されるため,高価であり,また,作動油の管理などが問題とされている。一方,性能は若干劣るもののある程度の耐コンタミネーション性があり低価格で使い易い油圧弁として比例制御弁がある。これは電流に比例した推力を発生する比例ソレノイドのプランジャで直接スプールを移動させ,流量と流路をコントロールするものである。サーボ弁は,トルクモータの発生力が油圧により増幅されてスプールに作用したのに対し, 比例弁では比例ソレノイドの発生力がそのままスプールに作用するため,スプールやプランジャの可動部の摺動摩擦や流体力などに代表される外乱力の影響を受け易い。また,比例ソレノイドの電流・推力特性間の非直線性やヒステリシス性があり,スプールを微小に変位させること,即ち,微小な流量を精密にコントロールすることが困難である。本研究において対象とした高速応答比例制御弁は前述の問題を緩和するためスプール変位を差動トランスによって計測し,比例ソレノイド駆動電流にフィードバックする,スプール位置制御ループを有する製品であるが,スプールの微小な変位領域に於ける制御性(目標値追従性)はなお充分ではない。筆者らは,以前からこのようなスプール位置制御ループを有する比例制御弁に於いて可動部の摺動摩擦や駆動力の非線形性等を一括して外乱観測器で推定し,ソレノイド駆動電流を補償することによって滑らかな動きで微小なスプール変位を得る手法を提案してきた。その際,外乱オブザーバーはアナログ回路によって構成し,前述の手法の有効であることを示してきたが,システム定数の同定誤差などに対する柔軟性を欠き,オブザーバー上の定数を任意に変えるなどの試みが不可能であった。本報告は近年安価に供給されるようになったDSP(デジタルシグナルプロセッサー)を用いてデジタル外乱オブザーバーを構成し,前記の手法を適用したところ,制御性や凡用性に於いて極めて有用であると思われる結果を得たので本稿にて手順を追ってこの試みについて記述する。

identifier:富山大学工学部紀要,51, Page 1-8

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