『未来看護塾』の活動および「人と関わる体験」が看護学生へもたらす効果 (研究ノート)

書誌事項

タイトル別名
  • ミライ カンゴジュク ノ カツドウ オヨビ ヒト ト カカワル タイケン ガ カンゴ ガクセイ エ モタラス コウカ

この論文をさがす

抄録

背景 未来の看護を担う看護学生が他者との交流やさまざまな体験を重ねることは,生活援助の必要性に気づく「感性」を育てることにつながると考えている。そこで筆者らは,人々との交流やボランティア活動を通して「未来の看護のあり方」を志向する,看護学生主体の活動グループ『未来看護塾』を始動した。目的 『未来看護塾』の活動の一端を振り返るとともに,ボランティア活動の体験が看護学生にどのような効果をもたらすのかについて,ボランティア活動の体験をもつ看護学生に実施した調査をもとに検討する。また,ボランティア活動に関わらず「人と関わる体験」は「他者意識」や看護職としての「職業意識」に影響を与えるのかについても検証する。方法 1.ボランティア体験をもつ看護学生への調査対象は本研究の趣旨に同意の得られた看護学生17名である。自由記述式質問調査として,ボランティア活動による学びなどについて質的に分析した。2.看護学生に対する大学入学後の「人と関わる体験」に関する意識調査対象は看護学生186名とした。調査は,無記名式の自記式質問紙とし,大学入学後の人と関わる体験の有無,内的他者意識,看護職としての職業意識についてなどの調査内容とした。なお,回答は5段階評定とし,各関連をχ^2検定にて分析した。結果 1.『未来看護塾』などのボランティア活動は,さまざまな「人と関わる」体験を重ねることとなり,参加している看護学生の「感性」を豊かにし,「コミュニケーション技術」の獲得や「自らの成長」へとつながる学びとなっている。2.看護学生における『内的他者意識』の合計点は,26.6±5.3/35点と高値であった。また,大学入学後にボランティア活動を行っている者は33%であり,このような『人と関わる体験』を多く行っている者は,職業意識も高い傾向にあることが認められた(p<0.1)。3.『未来看護塾』の活動は,「人と看護」の両方に関わる体験となり,学年の枠を超えて学生間でのミーティング,企画,実施,評価する体制の中で,「看護力」を向上させる。結論 ボランティア活動は,「人と関わる」体験となり,参加学生の「感性」や「コミュニケーション力」を豊かにすることを明らかにした。その中でも看護学生が行う『未来看護塾』の活動は,「看護力」を向上させるという教育的効果が得られることも示唆された。また,ボランティア活動に関わらず,「人と関わる体験」は看護職としての職業意識に影響を与える。本研究によって,看護学生における『未来看護塾』の活動および「人と関わる体験」を支援することの重要性を再認識した。

identifier:http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/100

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ