糖尿病教育入院患者への看護介入における質問紙PAIDの有用性 (研究ノート)

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  • トウニョウビョウ キョウイク ニュウイン カンジャ エ ノ カンゴ カイニュウ ニ オケル シツモンシ PAID ノ ユウヨウセイ

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抄録

背景 2型糖尿病は予防可能であり、自己管理により悪化を防ぐことができる疾患であるため、看護師の介入の仕方で糖尿病患者を減らすことが可能である。血糖コントロールと自己管理を高めるための糖尿病教室では知識を与えるだけではなく心理的アプローチが必要である。そこで糖尿病教育入院患者の自己管理に対する負担感情を把握するために、糖尿病問題質問票 Problem Areas in Diabetes Survey(PAID)を用いて心理的アプローチを行った。 目的 糖尿病教育入院患者の心理的アプローチのためにPAIDを使用して心的ストレスを評価し、PAIDの点数変化から看護介入の方向性を見出す。 方法 対象者は2週間の糖尿病教育入院プログラムを初めて体験する5名とした。PAIDを入院直後と入院後1週間目、退院前日の合計3回実施した。個室で30分~40分程度看護師が関わりを持ちながら、患者に記入してもらった。各回の合計点数と各項目の点数変化をもとに、事例ごとに対象者の負担感情と行った看護介入の内容を検討し、PAIDを活用して看護介入を行った。 結果 A氏は初回のPAIDの合計点数は95点中70点で、PAIDの結果を参考にして負担感情の原因を理解するように努めた。退院時には55点にまで下降し、外来指導へつなげた。B氏は、初回は95点中58点であった。「低血糖不安」の項目が高かったので低血糖に対する不安の内容をじっくり話してもらった。2回目は51点に下降し退院時は33点になった。C氏は、初回は95点中47点であった。2回目のPAIDは55点と上昇したため、C氏の生活状況に合わせた指導を栄養士に依頼したところ、退院時は42点になった。D氏の点数は入院時は95点中40点で、その後51点、49点と変化した。入院時よりも退院時の方が高得点であるがPAIDを通じて思いを表出する事ができるようになった。E氏に対しては、当人の努力を認めることで2回目から95点中33点となり、負担感情がなくなった。 考察 入院時のPAIDでは、入院時点での心理状態を把握することによって方向性を見出すことが可能である。2回目のPAIDでは、1回目から点数が下降しなかった項目と点数が上昇した項目の負担感情に対して介入の修正が行えた。退院時のPAIDでは看護介入の評価ができるので、外来の継続看護につなぐことが可能である。

identifier:http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/133

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