後期高齢期にある NYHA Ⅰ~Ⅱ度の慢性心不全患者の自己管理継続の要因

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  • コウキ コウレイキ ニ アル NYHA Ⅰ~Ⅱ ド ノ マンセイ シンフゼン カンジャ ノ ジコ カンリ ケイゾク ノ ヨウイン

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抄録

背景 慢性心不全は老年期に急増し,超高齢社会のわが国では高齢者の慢性心不全罹患率は上昇し続け(上村ら,2012),今後わが国の社会問題になることが予想されている(合同研究班報告慢性心不全治療ガイドライン,2010).慢性心不全患者は,入退院をくり返すことが多く,その原因はセルフケア行動に関する要因も少なくない(Tsuchihashi et al,2000).そのうえ,高齢患者はさまざまな機能低下により,自覚症状が出現しにくい,適切に愁訴できないなどにより,心不全の初期兆候が見逃され,高い再入院率に結び付いている(上村ら,2012).以上のことから,高齢の慢性心不全患者の再入院の予防には,加齢による機能低下を踏まえた心不全を増悪させないための自己管理の継続が重要である. 目的 高齢慢性心不全患者が地域で自己管理を継続できる要因を明らかにすることである. 方法 後期高齢期にあるNYHA Ⅰ~Ⅱ度の慢性心不全患者8 名を対象に,1 年以上再入院せず心不全症状をコントロールし,日常生活を送ることができている理由について半構成的面接を行い,質的記述的に分析した. 結果 173 の≪コード≫から22 <サブカテゴリー>,9 の【カテゴリー】が抽出された.研究対象者は,【医療者からの自己管理指導】や【療養生活での体験を通しての学び】から【自分の病気についての理解】 をして,【自分が身体によいと認識して行動すること】を生活に取り入れていた.そして【信頼する医師の存在】は絶対であり,信頼する医師の助言が研究対象者の自己管理の実施へと導いていた.さらに,自らの病気や入院の体験から【高齢であることや入院によりおこる機能低下を体験したことでの心がけ】が療養生活に生かされ,また【家族や介護者からのサポート】を受けて自己管理を継続していた.そして,研究対象者全員が療養生活による制約があってもつらいと述べるものはおらず,【療養生活を自分らしく送る秘訣をもつこと】や【病気にとらわれすぎないこと】で自分らしく療養生活を送っていた.結論 医療者や介護者の支援やサポート,加齢による機能低下を自覚すること,症状の体験を通しての学びだけでなく,病気にとらわれず療養生活を自分らしく送る秘訣が自己管理の継続の要因となっていたことから,その患者の価値観を尊重し患者一人ひとりにあった自己管理方法を考え,指導していくことが必要である.

identifier:http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/467

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