原発性肺癌患者に対する定位放射線治療後の局所再発危険因子となる治療前CT所見の検討

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抄録

【目的】肺癌患者の治療前CTにおいて、定位放射線治療後の局所再発の危険因子となる所見を検討すること。【対象と方法】2001年11月から2009年4月の間に定位放射線治療が施行された210人の原発性肺癌症例のうち、局所再発の有無についてfollow up CT及び臨床的に追跡可能であった87症例を対象とした。また、撮像装置として、多列検出器CTであるAquilion 16列(東芝メディカルシステムズ株式会社)を用いた。検討したCT所見は、治療前の腫瘍最大径・発育形式・すりガラス影・収縮性変化・背景肺の肺気腫・背景肺の間質性肺炎とし、2名の放射線診断専門医で評価した。検討項目・統計処理(解析方法)は、次の二つとした。再発群・非再発群間で各CT所見がある場合の再発の割合をFisher直接確率法で比較し、再発の危険因子となるCT所見をステップワイズロジスティック回帰分析にて検討した。【結果】各CT所見の有無による再発の割合のうちFisher直接確率法によるp値で有意差があったものは、"すりガラス影の有無"と"間質性肺炎の有無"の2項目であった。再発の危険因子となるCT所見に関して、ステップワイズロジスティック回帰分析による多変量解析では、再発への影響が大きい因子は、『すりガラス影無し』・『収縮性変化有り』・『背景肺に間質性肺炎有り』の3項目であった。【結論】定位放射線治療後の原発性肺癌において、治療前のCTで、腫瘍に『すりガラス影を認めない』・『収縮性変化を伴う』、背景肺に『間質性肺炎がある』、これらの場合に局所再発する危険が高くなる。

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