近世民衆教化にみる明清道徳律の土着化 : 『六諭衍義大意』の「翻訳」と活用について

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タイトル別名
  • Acceptation of Ming/Qing Moral Codes in Edo Period : Focus on the “Translation” and Utilization of Rikuyuengi-tai
  • キンセイ ミンシュウ キョウカ ニ ミル メイセイ ドウトク リツ ノ ドチャクカ : 『 ロク ユエンギタイイ 』 ノ 「 ホンヤク 」 ト カツヨウ ニ ツイテ

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抄録

本稿では、明清王朝で頒布された道徳倫理に関する勅諭「六諭」の近世日本における受容と伝播過程を分析し、明清の道徳律がどのような解釈・再生産過程を経て、近世日本の民衆世界に吸収されたかを考察する。まず、「六諭」及びそれを敷衍した教訓書『六諭衍義』の伝来と、近世日本の知識人によって和訳された『六諭衍義大意』の成立について簡単に紹介し、近世日本の民衆教化における「六諭」関係書の位置付けを明らかにする。次に、広島藩が頒布した一冊の『六諭衍義大意』の解説書『教訓道しるべ』を取り上げる。両書の違いを分析することで、「六諭」の受容過程における再解釈を解明する。そして代官早川正紀の教化活動における「六諭」関係書の活用について、『六教解』という『教訓道しるべ』を改題した書物を紹介する。『六教解』=『教訓道しるべ』は、当地の代官によって、様々な場面で民衆教化に用いられた。最後に、諸地域における『六諭衍義大意』『教訓道しるべ』『六教解』の活用状況を総覧し、近世日本における「六諭」の受容過程を明らかにする。

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