<原著>アドバンス助産師が助産師外来で初めて関わるローリスク妊婦を捉える視点

書誌事項

タイトル別名
  • Perspectives of Advance Midwives in Understanding Low-Risk Pregnancies
  • アドバンス助産師が助産師外来で初めて関わるローリスク妊婦を捉える視点
  • アドバンス ジョサンシ ガ ジョサンシ ガイライ デ ハジメテ カカワル ローリスク ニンプ オ トラエル シテン

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抄録

助産師は自律して正常な妊娠経過を管理することができる。現在,医療機関において外来で正常経過の妊産婦の健康診査と保健指導を助産師が自律して行う助産師外来がある。一般的な妊婦健診は,医師のみが行うことが多いが,助産師外来は,医師と協働し決まった週数で助産師が健診を行っている。助産師外来は,日本助産評価機構の定めるアドバンス助産師の認証を得た助産師が実施している。助産師外来の対象は,妊娠前の合併症がなく,妊娠経過が順調であることが予測され,身体的にも,精神的にも落ち着いている妊婦である。助産師外来の妊婦のメリットは,身体的な健診と妊婦の現状や不安等を傾聴できる保健指導が一体化しており,助産師と関わる時間を長く持てることである。妊婦が日常的な疑問・不安について気軽に相談することができるため,ニーズが高まっている1)。助産師にとっても助産師外来のメリットは大きく,積極的に専門性を発揮することができる場となっている。  しかし,妊娠は女性にとって大きなイベントであり,身体的な変化だけではなく,心理的・社会的変化も伴う。女性をとりまく環境も複雑化し,齋藤は,現在の女性は,妊娠した場合に適切なマタニティライフを営む能力を習得しておらず,核家族化で相談相手も少なく不安の多い生活になると指摘している2)。助産師外来の対象となるローリスク妊婦も,身体的には,正常な経過が予測される妊婦であっても,妊娠経過の中での様々な変化から,正常から逸脱をする可能性がある。また,養育について妊娠中から社会的資源を必要とする特定妊婦など,社会背景が複雑な妊婦も対象となる。助産師は,そのような妊婦を対象に,妊婦を捉え,介入していかなければならない。ひとりの妊婦に対し,同じ助産師が妊娠期の継続的な関わりを行っていくことが求められているが,同じ助産師が継続的に関わるのではなく,ある助産師が妊婦と各時期に初めて会い,関わることが少なくない。助産師は初めて関わる妊婦を理解し,介入していくことが求められている現状がある。  助産師外来で,専門性を発揮でき,やりがいを感じながらも,責任と関わりの困難感を感じている助産師もいる。関わりの困難感は,初めて会う妊婦を捉え,介入していかなければいけない現状からきていると考える。保健指導の能力や助産師外来に求められる能力を謳う文献はあるが,実際の助産師が行う臨床でのローリスク妊婦のアセスメント過程やその能力の具体的思考過程を示した文献はない。本研究は,臨床のアドバンス助産師が助産師外来で初めて関わるローリスク妊婦を捉える視点を明らかにすることを目的としている。

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