<研究ノート>中央アジア・イシク湖及びその流域の水質に関する地理学的研究

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タイトル別名
  • <Research Notes>Geographical Study on Water Quality in Lake Issyk-Kul and its basin (Central Asia)
  • チュウオウ アジア ・ イシクコ オヨビ ソノ リュウイキ ノ スイシツ ニ カンスル チリガクテキ ケンキュウ

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抄録

イシク湖は,塩湖として世界的にも代表的な湖として知られている.元来,塩湖は,湖水蒸発に伴う湖水の低下が継続的に生じ,塩分が濃縮されることから形成される.しかし,イシク湖では,亜寒帯湿潤気候に位置しており,湖水への流入水が流出水を上回ることで,湖水位が上昇しながら,さらに塩分濃度が増加していることが特徴である.そこで,イシク湖及び流入する河川水や地下水の水質の特徴を明らかにするため,2015年夏季のイシク湖及び河川水・地下水の水質特性をまとめた.イシク湖に流入する河川水の水質は,主にCa ― HCO_3型であり,湖水はNa ― Cl(Mg ― SO_4)型であった.一方,湖周辺の地下水はCa ― HCO_3型やNa ― HCO_3型,Na ― Cl型,Na ― Cl・SO_4型など多様な水質パターンとなった.水の水質の変化は,蒸発濃縮により,Na^+,Cl^-,Mg^2+,SO_4^2-などのイオンが高濃度になることが知られていることから,周辺の地下水は,湖水の水量だけでなく水質にも大きく影響を与えていると考えられる.これは,河川水中に含まれるNa^+,Cl^-,Mg^2+,SO_4^2-は微量であることからも地下水由来の水質を支持するものである.これに加えて,河川水の湖への影響は,人為由来に伴う成分の寄与が示唆されるものがあり,今後,イシク湖周辺が発展していく際にも自然環境保護の観点から継続的な調査が望まれる.

収録刊行物

  • 法政地理

    法政地理 51 35-44, 2019-03-20

    法政大学地理学会

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