地域コミュニティにおけるソーシャルキャピタル : 神楽坂地域の喫茶店を事例にして

書誌事項

タイトル別名
  • Social capital in a local community : Case study of a coffee shop in Kagurazaka
  • チイキ コミュニティ ニ オケル ソーシャルキャピタル : カグラザカ チイキ ノ キッサテン オ ジレイ ニ シテ

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説明

研究の概要(和文):本稿では、地域におけるソーシャルキャピタルの蓄積を多様な喫茶店の役割に焦点を当てて分析した。地域における人が集まる場所を分析したソーシャルキャピタル研究はあるが、一地域のほぼ全ての場所を網羅的に分析した研究は少ない。本稿では、喫茶店という交流を生む場所を調査分析した。分析結果として明らかになったのは、以下の4 点である。(1)神楽坂における喫茶店は、常連客との一歩踏み込んだ交流を生み出し、紹介などによって人的つながりを広げていることがわかった。(2)喫茶店には、大きく分けると、喫茶サービスに特化した「喫茶店タイプ」、大規模チェーン店に多い、顧客がコーヒーを運ぶ「セルフタイプ」、喫茶以外の目的を持つ「多目的カフェ」がある。「多目的カフェ」は地元以外の観光客が多いが、「喫茶店タイプ」と「セルフタイプ」は常連客が多いことがわかった。(3)店舗タイプ別に顧客の特徴を分析し、「喫茶店タイプ」と「セルフタイプ」の違いを明らかにした。すなわち、前者は、1 人客が集まり、交流しながらソーシャルキャピタルを「構築する場」であるのに対して、後者は、知り合いがその関係を「強化する場」であると解釈できる。(4)さらに本稿では、喫茶店の座席構成を分析した。「セルフタイプ」は、総席数が多い大型店舗であり、テーブル席と個人席は多いが、カウンター席はないという特徴がある。その一方で、喫茶店タイプはカウンター席が多いという特徴を持っていることを確認した。この違いは、常連率と座席構成の相関関係を分析した結果とも整合的である。「セルフタイプ」のように総席数が多く、「喫茶店タイプ」のようにカウンター席割合が増えれば常連が増えるので、ソーシャルキャピタルが強化され、構築されるには、それに適した場が選択されていると解釈できる。

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