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- 永次 健人
- 九州大学人文科学府
書誌事項
- タイトル別名
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- Case Phenomena in Sentence Fragments
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抄録
本稿では、文断片における格現象をJackendoffの三部門並列モデルに基づく間接認可のアプローチによって説明する。 形式的には文に満たないが文に相当する意味を持つ表現である文断片は、生成文法の標準的アプローチにおいて、削除現象の一つであると見なされてきた(Merchant 2004他)。この「削除分析」では、文との部分的な類似性(Connectivity)を捉えることができるが、文には見られない文断片固有の特性(Anti-connectivity)を説明できない。一方、文からの削除によらず、文断片のみを直接生成する分析(直接生成分析)では、文断片に文の統語構造を仮定しないので、Anti-connectivityを捉えることができるが、これまで提案されてきたものでは、文法現象に具体的な説明を与える方法は、十分には示されていない(Culicover and Jackendoff 2005; Progovac 2006他)。格現象に関しても、削除分析では、英語・フランス語に見られるAnti-connectivityを説明することができない。一方、直接生成分析では、文断片の統語構造上に格の認可詞が現れていないので、ドイツ語に見られるようなConnectivityの現象の説明が困難になる。本稿では、Culicover and Jackendoff (2005)で提案された間接認可のメカニズムを拡張して、辞書及び意味構造の要素が格の認可詞になると想定することで、直接生成分析に基づくConnectivityの説明が可能であることを示す。また、英語・フランス語のAnti-connectivityは、(i) 時制の欠如と、(ii) 焦点であるという文断片の二つの特性から説明される。
収録刊行物
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- 九州大学言語学論集
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九州大学言語学論集 31 53-88, 2010
九州大学大学院人文科学研究院言語学研究室
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390009224837128064
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- NII論文ID
- 120003005471
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- NII書誌ID
- AA11886316
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- DOI
- 10.15017/19613
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- HANDLE
- 2324/19613
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可