韓国産チュウダイサギEgretta alba modestaの繁殖生態に関する研究 : II.造巣習性と保護・管理対策

書誌事項

タイトル別名
  • Breeding Ecology of the Eastern Great White Egret, Egretta alba modesta, in Korea : II. Nest Building Behavior and Protection Procedure
  • 韓国産チュウダイサギEgretta alba modestaの繁殖生態に関する研究-2-造巣習性と保護・管理対策
  • カンコクサン チュウダイサギEgretta alba modesta ノ ハン

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抄録

本報では,韓国忠清南道天安市に渡来・繁殖するチュウダイサギEgretta alba modestaの造巣習性について調査した.1.本種の営巣樹種はすべてカラマツで,巣は地面から4.6~8.7m(平均6.1m)の高さに構築された.2.巣は1本の樹木当たり1~4個(平均1.9個),雌雄の分業によって造られ,巣材の収集は主に雄鳥(94.4%),構築は主に雌鳥によって行なわれた.3.巣は1個当たり156~282本(平均212本)の枝によって造られており,巣材として用いられた枝の樹種はカラマツ(47.4%),ニセアカシア(35.8%),アカマツ(8.5%),ハンノキ(5.7%)及びクヌギ(2.6%)の順に多かった.4.営巣樹種であるカラマツでは,樹高の成長率は胸高直径のそれに比して非常に高く,営巣木はその成長に伴って強風に対する安定性を欠くようになり,そのために多くの巣や卵が落下した.従って,カラマツは営巣に適した樹種とはいえず,これが本繁殖地の放棄をもたらした最大の原因であろう.5.本種の保護・管理対策として,1)成長は遅いが安定性に富み落巣や落卵を起こしにくく,かつサギ類の排泄物による枯損への抵抗性が強いアカマツと,アカマツが営巣に適した樹高をもつに至るまでの代替樹としての,成長の速いニセアカシアとを繁殖地及びその付近に補植・造林すること,2)禁猟,盗卵の禁止及び繁殖地への侵入禁止を徹底的に実施すること,3)東南アジア諸国におけるBHCとDDTの使用を抑制することの3点を提案する.

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