エツCoilia nasus Temminck et Schlegelの生態的研究 : I.遡上群の生態に関する予報

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タイトル別名
  • Ecological Studies on the Engraulid Fish, Coilia nasus Temminck et Schlegel : I. Preliminary Report on the Ecology of the Ascending Population
  • エツBoilia nasus Temminck et Schlegelの生態的研究-1-遡上群の生態に関する予報
  • エツ Boilia nasus Temminck et Schlegel ノ

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抄録

有明海及び筑後川の重要種であるエツの保護と増殖をはかる目的で本種の生活史を通した分布,移動,回遊,成長を明らかにするとともに成熟,産卵,卵内発生及び資源量の推定の研究を行っている.本報では1977及び1978年に筑後川の感潮域において行った流し網,投網の試験操業と漁業者の漁獲仕切台帳によって遡上群の生態の一部を明らかにした.1)エツの遡上には潮汐と河川流量が関連し,小潮から大潮にかけての流況や流量の増加などの水位の増加変動を伴う要因が大きく影響する.2)遡上量は経時的には昼間の午後に,とくにその内,下げ潮時に多い.3)河川内におけるエツの遡上分布は下流部で表層に,上流の産卵場に遡上するに従って底層となる.4)遡上魚の大きさは全長160~410mmで,産卵場となる感潮域の上流部には産卵期の5~7月に多く出現するが,8月以後は全長200mm以上のものは減少し,当歳魚を含む全長200mm未満のものが出現する.耳右による年齢査定の結果,エツは1歳で全長182mm,2歳で全島260mm,3歳で全長324mmに達し,産卵親魚は雄で2~3歳,雌で2歳以上である.5)産卵域で採集した雌の生殖腺指数(GSl)は5~6月中旬に高く,以後に急減する傾向を示し,産卵の盛期は6月中旬と考えられる.また,性比に偏りがあり,雌1尾に対し,雄2~20尾の群による産卵が推察された.

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