酸化脂質によるホスホリパーゼA阻害

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  • Inhibition of Phospholipase A by Oxidized Lipid
  • サンカ シシツ ニヨル ホスホリパーゼ A ソガイ

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抄録

Crotalus adamanteus のホスホリパーゼA活性測定にあたり,30℃,1日酸化されたレシチンを基質とするとレシチンの加水分解量は著しく減少した.これはレシチンが酸化して基質になり得ないことのみによるのではなく,レシチンの酸化生成物でホスホリパーゼAが不活性化されることによると結論した.次に酸化脂質として酸化リノレン酸メチルを用いてホスホリパーゼA活性阻害を調べ,40℃酸化では4日酸化したものの阻害が最も大であった.酵素と酸化リノレン酸メチルをプレインキュベーションした後,レシチンを加水分解させるMethod-Aでは酵素0.8μgの活性を30%阻害するに要する40℃, 4日酸化リノレン酸メチルの量は1.2μgであった.一方,プレインキュベーションせずに酸化リノレン酸メチルを反応系に直接添加するMethod-B では酵素0.8μgの活性を30%阻害するに要する40℃,4日酸化リノレン酸メチルの畳は800μgであった.40℃,4日酸化リノレン酸メチルの Bio-Beads S-X3 クロマトグラフィで得た5画分による阻害率をMethod-AおよびMethod-Bで測定すると,Method-Aでは多量体画分が最高で,二量体画分,分解物画分の順であり,Method-Bでは分解物画分が最高で多量体画分,二重体画分の順であった.酵素活性阻害の大きい分解物画分をガスクロ分析し,酵素とのインキュベーション後減少したピークをGC-MS分析した.分解物画分中ホスホリパーゼA阻害化合物として methyl 9-formyl-8-noncnoate, methyl 10-formyl-9-decenoate, methyl 11-formyl-9-hydroxy-10-undecenoate, methyl 9-hydroxy-10-undecenoateおよびmethyl 11-hydroxy-9-undecenoateを同定した. これらは二重結合と共役した位置に水酸基またはカルボニル基をもつ活性物質である.

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