ベンケイガニ類の生態II : 生息場所,交尾および抱卵期
書誌事項
- タイトル別名
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- Ecological studies of marsh crabs, Sesarma spp. II : Habitats, copulation and egg-bearing season
- 生息場所,交尾および抱卵期
- セイソク バショ , コウビ オヨビ ホウランキ
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説明
ベンケイガニ類は人間社会と深い関係をもつ河川流域の家屋周辺から河口にいたるまで広く分布し,人家近くに生息するカニとしてはアカテガニ,クロベンケイ,ベンケイガニの3種に限られる.本報ではベンケイガニ類の生息場所や分布を検討し,さらにこれらのカニの繁殖についての知見をのべた.以下これらについて要約してみる. 1) ベンケイガニ類5種S. (H.) haematocheir, S. (H.) dehaani, S. (S) intermedium, S. (P.) erythradactylum, S. (P.) pictumの生息場所についてのべ,またこれらのカニと活動期や冬眠期における巣穴との関係についても言及した. 2) 小さな川での分布調査から,本類を次の3つの分布型に分けた. a. アカテガニ,クロベンケイ,ベンケイガニは海水の影響を受けない上流までみられるが,ベンケイガニは分布密度が低く生息場所も制限される. b. 汽水にのみ分布する種類としてアカツメガニ,クシテガニがあげられ,これらのカニは淡水や塩分濃度の高い海岸には生息しないようである. c. アカテガニのようなカニとは逆に,カクベンケイは活動期・冬眠期を通して比較的塩分濃度の高い海岸線に分布する. 3) 主にアカテガニで脱皮について観察し,脱皮時間や脱皮後の成長などが明らかにされた. 4) ベンケイガニ類の交尾は5月中旬から6月中旬に行なわれ,昼夜ともにみられるが,夜間に多く観察される.5) 交尾習性は他のイワガニ科のカニに類似するが,本類の雄個体は必らずしも雌の下側に位置せず,他の動物に邪魔される時にのみ,雄が下になることが知られた. 6) 周期的に各種についての採集を試み,個体群としての抱卵期間を5月末から9月末までとした.しかし,この期間は各種による差異がみられ,抱卵個体の大きさも種類によつて異なる.
収録刊行物
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- 九州大學農學部學藝雜誌
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九州大學農學部學藝雜誌 23 (2), 81-89, 1967-07
九州大學農學部
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390009224837723392
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- NII論文ID
- 110001715481
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- NII書誌ID
- AN0005519X
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- ISSN
- 03686264
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- DOI
- 10.15017/23007
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- HANDLE
- 2324/23007
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- NDL書誌ID
- 8162529
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDLサーチ
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