ブドウの結実に対するジベレリン処理の効果について

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タイトル別名
  • The action of gibberellins on the fruiting of grapes
  • ブドウ ノ ケツジツ ニ タイスル ジベレリン ショリ ノ コウカ ニ ツイテ

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説明

1. GB処理花穂に生ずる花粉は形態的に何ら異常を示さなかつたが,その発芽力は人工発芽床上では著しく低下するのが見られた.これら花粉の種子形成能力を見るため,無処理の除雄花に処理花の花粉を授粉したところ,正常な有核果粒の出現率は著しく低下した.すなわち,GB処理が花粉の授精能力を著しく減退せしめることが明らかになつた. 2. GB処理花穂上の除雄花に無処理正常花粉を授粉した場合の正常な有核果粒の出現率は自家授粉の場合と同様に,5%以下であつた.これはGB処理花の胚珠が種子形成能力の明らかな低下を示すものである.ただし,その代りに,多数の無核果粒を形成しうることはいうまでもない.その際,花粉の影響を受ける必要がなく,除雄花子房は無核果粒に発育することが判明した. 3. 無核果粒の形成に関するGBの作用機作を究明するため,デラウエア品種を供用し,花粉および胚珠形成の組織学的究明を行なつた.花粉についてはGB処理による形態的な悪影響は何ら認められなかつたが,胚珠においては形態的に異常な胚嚢の形成が著しく認められた.たとえ形態的に正常な胚珠子房といえども,殆んど無核果粒を形成しうることが明らかになつた.したがつて,GB処理による無核果粒の形成は胚珠子房の形態的ならびに生理的異常がその根本的原因であると認められ,すなわち,無核果粒では胚の正常な発育は得られないで,子房の単為結果的発育が導かれるものである.

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