サワガニにみられた雌雄モザイク

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タイトル別名
  • Gynandromorph of a Freshwater Crab, Geothelphusa dehaani (White)
  • サワガニ ニ ミラレタ シユウ モザイク

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抄録

福岡県粕屋郡の谷山川で, 1990年9月から1991年9月にかけて採集した標本のうち, 外性器を含む外部形態のみに雌雄モザイクが認められるもの13個体, 生殖腺に雌雄モザイクが認められるもの2個体が得られた. 外性器を含む外部形態に雌雄モザイクが認められるものは, 次の3つに分類された. (1)外性器を含まない外骨格の形態は, 雌であり雌性生殖孔を有し, 雄の不完全な第1腹肢(交尾器)を有するもの. (2)外性器を含まない外骨格の形態は, 雌であるが雌性生殖孔が認められず, 雄の不完全な第1腹肢(交尾器)を有するもの. (3)外性器を含まない外骨格の形態は, 雄であり完全な第1腹肢(交尾器)および第2腹肢(交尾補助器)を有し, 雌性生殖孔を有するもの. 生殖腺に雌雄モザイクが認められたものは, 2個体得られた. この2個体は雄の外骨格形態を示し, 腹節部は細く, 腹肢としては第1腹肢(交尾器), 第2腹肢(交尾補助器)のみを有している. 雄性生殖孔が第5胸脚の基部に関口しており, 鉗脚には二次性徴が現れている. しかし, これらの個体には, 小さく不完全な雌性生殖孔が開口している. また, 精巣と輸精管は両側に存在するが, 1個体については右側の生殖腺, もう1個体については左右両側の生殖線の前方部分に卵を有し, 後方部分が精巣の形態をしている. これらの生殖腺の組織学的観察を行ったところ, 精巣部分および輸精管に精子が認められ, 卵巣部分は卵径約1mmの卵黄球期から前成熟期に相当する卵が認められた.

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