<研究ノート>イングランド封建制の発展に関する一試論

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タイトル別名
  • <Note>An Interpretation of the Development of the English Feudalism
  • イングランド封建性の発展に関する一試論
  • イングランド ホウケンセイ ノ ハッテン ニ カンスル イチ シロン

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抄録

拙著『封建制と王政』において、イギリス封建制とイギリス王政との関連を専ら現象面に則して追求したが、理論的見通しをつける点において欠ける所があった。本稿は、かかる反省の上に立って、封建制を私的な主従制を中核とする社会風習であると規定し、そこにindividualismとlocalismとの特質を見出したが、イギリスにおいては、かかる特質が、他のヨーロッパ諸国のように超国家的身分的な方向に発展することなく、地方共同体の並存、調和という形で形成される王国共同体の枠内において発展せしめられるものであったことを強調した。つぎに、このような特徴的な発展を示した封建領主権とイギリス王権とを、系譜的に見通してみることとし、両者ともにジッペ族長支配権に起源するものであったが、ジッペ共同体の封建的分解を契機として成立してくる封建領主権と、同じ封建的分解を契機として、ジッペの統合者より封建的諸関係の統轄者へと性格を改めてくるイギリス王権との対抗・協調関係を、イギリス封建制の王国共同体的発展という特徴の下に把握し、さらに、封建領主制の危機、地方ジエントリーの抬頭に注目しつつ絶対王朝成立への動向を見通した。

収録刊行物

  • 史林

    史林 52 (1), 116-134, 1969-01-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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