<研究ノート>九州に於ける中国史前の黒陶系の土器

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タイトル別名
  • <Note>Some Pottery in Kyushu 九州 Related to the Chinese Prehistoric Black Pottery
  • 九州に於ける中国史前の黒陶系の土器
  • キュウシュウ ニ オケル チュウゴクシ マエ ノ コクトウケイ ノ ドキ

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抄録

一九三〇年代のはじめに山東省城子崖遺跡の調査で新たに知られた黒陶は、其後、北シナの各地に濃密に分布して史前の彩陶につづき殷代の白陶に先立った著しい中国での土器様式であることが明らかになった。ここに云う黒陶系の土器は、その様式をうけたもので、右の中心以外の各地より、四隣の国土に波及したものを指す。この事はまた各地に於ける出土品に依って認められたことである。遠く離れた九州の一部に右の黒陶系と認められる特色を示す土器の出土していることの管見に上ったのは早く一九四〇年代の終りであった。しかし、当時にあっては、この国土に於ける外来に基く土器様式が所謂弥生式土器にはじまるとの先入の主観よりし、且つは黒陶そのものについての知見を欠いたこと等から、固より看過された。そしてその後新たに注意に上ったものをはじめ更に見出された同じ顕著な類にあっても、依然として現在に及んでいる。この小文は四年前熊本県御船町の遣跡で新たな出土が報ぜられたのを機会に、是等の九州に於ける黒陶系の土器類について、国外に於ける確実な黒陶系の遺品と対比して、その然る所以を説いたもので、これに依って中国の古い土器様式の早くこの国土に波及し受容されたことを明らかにすると共に、併せていまや通念化した観のあるこの国に於ける史前土器の編年観の止揚せられる可きことに及んだものである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 52 (3), 447-459, 1969-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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