<論説>十九世紀西スーダンにおける政治的領域

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タイトル別名
  • <Articles>Les territoires politiques du Soudan ouest au XIX^e siecle
  • 19世紀西スーダンにおける政治的領域
  • 19セイキ ニシ スーダン ニ オケル セイジテキ リョウイキ

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抄録

西スーダンの地域的特性は、サハラ砂漠を越えて恒常的に維持された地中海世界ことにイスラム世界との歴史的交渉により、イスラム文化が社会に深く刻印されていることにある。そこでは社会の根底に深い流動性が潜んでおり、従来のアフリカ部族社会論において取られた小宇宙としての部族のモザイク的配列という視点では、西スーダンの地域の正確な把握に程遠い。九世紀以後、相ついで広域的展開を遂げた古「王国」の存在も、こうした西スーダンの地域的特性を如実に示すものである。植民地分割の直前の時代である十九世紀においても、Uthman dan Fodio, Al-haji‘Umar そして Samory Ture の’カリスマ的権威を帯びた指導者の征服活動により、広大な政治的領域(しばしば「帝国」と称される) が形成された。これらは互いに色合いを異にしながらもイスラム改革運動をその基盤に持つ点で共通の性格を有している。しかしその領域的展開や領域支配の構造については、各々の社会構成や直面した政治的・軍事的局面により独自の展開がみられるのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 58 (1), 27-66, 1975-01-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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