<論説>ローマ皇帝の哲学者弾圧について

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タイトル別名
  • <Article>The Philosophic Opposition under the Early Principate
  • ローマ皇帝の哲学者弾圧について
  • ローマ コウテイ ノ テツガクシャ ダンアツ ニ ツイテ

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抄録

オクタウィアヌス・アウグストゥスによって創始されたローマの元首政は、所謂五賢帝時代を迎えるまで様々な反対行為や陰謀に悩まされて安定しなかったが、とくに、紀元一世紀後半には皇帝に対する「哲学者」の反対行為及びそれに対する皇帝の 「哲学者」弾圧が生じており、元首政の政治史上に注目すべき特異な事件となっている。本稿では、研究史上philosophic opposition などど呼ばれてきたこの事件をとり上げ、検討を加えた。従来の研究では、反対行為が共和政復活の革命を志向していたなどと語られがちであったが、本稿の検討ではそうした説は否定され、また、反対行為における「哲学」の意義についても重視されてはいない。むしろ、反対行為は、当該時代のローマ社会の特徴、とりわけ支配的社会層の社会移動の一端にその社会的背景を求めることができることを本稿は明らかにしてゆく。それによって、五賢帝時代の政治的安定の秘密をも見通されよう。

収録刊行物

  • 史林

    史林 67 (1), 76-107, 1984-01-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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