<論説>宝亀年間に於ける僧綱の変容

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タイトル別名
  • <Article>The Transformation of Sogo 僧綱 during the Hoki 宝亀 Period
  • 宝亀年間に於ける僧綱の変容
  • ホウキ ネンカン ニ オケル ソウゴウ ノ ヘンヨウ

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抄録

本稿は、律令国家の仏教行政の運営に中心的な役割を果した僧綱の性格が宝亀年間に於いて変化することを僧綱の補任及び僧綱政の実態の点から指摘し、その意義付けを試みるものである。道鏡の失脚以前の段階に於いては、治病能力を有する僧の僧綱への任用が頻繁に行われ、また僧綱の行政的職務(綱務) は特定の僧綱がそれに専当していたのに対し、以降の段階に於いては、律師より順を追って昇任する補任の原則が確立されると共に、治病能力を媒介とした僧綱への任用が止み、全ての僧綱が直接綱務を執るようになった。このような僧綱の変容は、宝亀三年の十禅師の設置・制度化と密接に関連するものであり、この時点で国家による僧綱の改革、即ち行政官吏としての性格が強い僧綱の確立がはかられた結果として捉えることができる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 68 (2), 218-252, 1985-03-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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