<論説>上シンド盛期ハラッパー以前の土器

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タイトル別名
  • <Articles>The Pottery of the Pre-Mature Harappan Period in the Upper Sind
  • 上シンド盛期ハラッパー以前の土器
  • カミ シンド セイキ ハラッパーイゼン ノ ドキ

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説明

いまインダス文明の研究の中で最大の問題点になっているのは、盛期ハラッパー文化期以前の段階の文化実態に対する理解である。これをめぐって「先ハラッパー文化説」と「初期ハラッパー説」とが両立している中で、この段階の文化様相について、上シンド地方におけるモエンジョ・ダーロ、コト・ディジ、アムリ三つの重要な遺跡の土器に対し、型式学的な角度から比較研究を行なった結果、これまで未知であったモエンジョ・ダーロの下層文化はコト・ディジ文化とアムリ文化とも性格の異なる、盛期ハラッパー文化の直系的な文化、いわば「真の初期ハラッパー文化」であるという結論に達したのである。この結論によって、前二千年代前半、上シンド地方における文化の展開についてもっとも合理的な説明ができるだけでなく、従来の学説で解決されていない盛期ハラッパー文化とその下層文化との性格上の相違、層位および分布関係等の諸問題について根本的に見直す契機が生まれたといえる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 71 (4), 619-649, 1988-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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