<論説>古典期アテナイの宗教儀礼における「市民身分」承認過程

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タイトル別名
  • <Articles>Religious Procedures and the Process of Identification of Civic Status in Classical Athens
  • 古典期アテナイの宗教儀礼における「市民身分」承認過程
  • コテンキ アテナイ ノ シュウキョウ ギレイ ニ オケル シミン ミブン ショ

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抄録

古典期アテナイにおける「市民」は、完全市民権を制限することによって高度に機能したアテナイ民主政のもとで閉鎖的性格を帯び、前四五一/○年「ペリクレスの市民権法」の成立によって両親共に市民身分たることが市民資格の条件となってからは、その身分がさらに限定されることとなった。だが、市民権法成立によって規定された母親の市民身分とは、当時の法的手段によっては証明することが困難なものでもあった。本稿ではこのようなアテナイの法体系を補完する役割を果たした宗教儀礼に着目し、特に法廷弁論中で言及されるフラトリア成員への「紹介」という手続きが、宣誓や犠牲式を含む規定に則して効果的に市民身分を立証していたこと、さらに女性の市民身分についても、フラトリアやデーモスでの宗教儀礼で段階的に承認されるという男性市民と共通のパターンがあることを明らかにし、アテナイ市民の身分が形成される過程を宗教儀礼の一環として再構成した。

収録刊行物

  • 史林

    史林 81 (2), 133-166, 1998-03-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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