<論説>新四国借款団と国際金融家 : 国際協調主義の論理と限界

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The New Four-Power Consortium and Japan's International Financiers : The Logic of International Cooperation and Its Limitations
  • 新四国借款団と国際金融家--国際協調主義の論理と限界
  • シン 4コク シャッカンダン ト コクサイ キンユウカ コクサイ キョウチョウ シュギ ノ ロンリ ト ゲンカイ

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説明

一九二〇(大正九) 年、中国に対する英米仏日四国借款団が成立した。この借款団への参加にあたって、日本は、満州における特殊権益を個別に列挙することで各国と妥協した。本稿は、その際の日本の外交方針を、国際金融家の役割に注目して検討し、国際協調主義外交の論理と限界を探ることを目的としている。横浜正金銀行を中心とする国際金融家は、日本が満州での特殊権益に固執することを批判し、列強の協調による対中国政策の推進に力を尽くしたが、これは同時に、国際経済の安定と銀行の利益にもつながることであった。このような国際金融家外交では、欧米諸国のエリート層の価値観、すなわち「文明国標準」が規範的準則とされた。この原則は、新四国借款団成立の原動力となった反面、ナショナリズムには鈍感であり、借款団が第一次世界大戦後の国際政治の新しい動きに対応できないという事態を招来することにつながっていったのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 84 (2), 268-297, 2001-03-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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