<論説>東地中海世界と対抗宗教改革 --ヴェネツィア領キプロスにおける正教徒とカトリック信徒--

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  • 藤田 風花
    京都大学大学院博士後期課程・日本学術振興会特別研究員

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The Counter-Reformation in the Eastern Mediterranean World: Orthodox Greeks and Catholics in Venetian Cyprus (1473-1571)
  • 東地中海世界と対抗宗教改革 : ヴェネツィア領キプロスにおける正教徒とカトリック信徒
  • ヒガシチチュウカイ セカイ ト タイコウ シュウキョウ カイカク : ヴェネツィアリョウ キプロス ニ オケル セイ キョウト ト カトリック シント

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抄録

本稿は、ヴェネツィア領キプロスに焦点をあて、当地における対抗宗教改革の展開を検討することで、一六世紀東地中海世界における正教・カトリック・イスラームという三つの宗教文化圏の交錯のありようを問う。正教会にたいする対抗宗教改革の影響という問題は、カトリックとプロテスタントの対抗関係を想定してきた従来の対抗宗教改革史研究からこぼれ落ちてきた。そこで本稿は、リュジニャン朝期の一二六〇年に実質の教会合同体制が成立していたキプロスに、トレント公会議の布告を適用するべく到来したヴェネツィア人大司教モチェニーゴの改革と、それにたいする現地の正教会の反応を分析した。その結果、大司教の改革は、キプロスの正教徒に、カトリックへの反発を生じさせただけでなく、オスマン帝国へと目を向けさせた要因となったと主張する。さらに、彼の改革は、キプロスの正教徒にローカルな信仰の慣習を保持することを意識させたと結論づける。

収録刊行物

  • 史林

    史林 102 (6), 817-853, 2019-11-30

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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