広島城出土の金箔鯱瓦についての考察 <原著論文>

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タイトル別名
  • Consideration on the Pair of Shachihoko pasted with Gold Foil, Excavated from the Hiroshima Castle <Article>
  • 広島城出土の金箔鯱瓦についての考察
  • ヒロシマジョウ シュツド ノ キンパクシャチガワラ ニ ツイテ ノ コウサツ

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抄録

鯱は頭が龍(もしくは虎)で体が魚という想像上の霊獣で, 火伏せの霊験をもつという。鯱は鎌倉時代に唐様建築とともに中国から伝来したもので, 寺院本堂内の厨子の大棟などに木製のものが用いられた。城郭建築で鯱を用いた初例は, 天正四年(1576)築城開始の織田信長の安土城と考えられる。 ところで, 平成二十年(2008)十二月に広島市に所在する広島城三の丸跡の井戸から, 目・耳・牙・鰭など部分的に金箔を押した鯱瓦が, ほとんど完全な形で出土した。全体や細部の形状から毛利氏時代の十六世紀末期に制作されたと考えられる。完形品としては現存最古の鯱瓦で, 安土城に初めて鯱瓦が用いられてから間もない時期に制作されたもので, 初期の鯱瓦の形状を知る上で貴重な事例と言える。 また完形品であるため, 今後, 発掘調査などによって同時期の鯱瓦片が見つかった際に, 部位の同定や年代の推定を行うための基準になるもので, その価値は高い。

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