ため池灌漑地帯における伝統的農業水利組織の特質 : 広島県賀茂郡黒瀬町を事例として

書誌事項

タイトル別名
  • The Characteristics of Traditional Irrigation System in the Pond Irrigation Area : Case Study of "Kurose"
  • ため池潅漑地帯における伝統的農業水利組織の特質--広島県賀茂郡黒瀬町を事例として
  • タメイケ カンガイ チタイ ニ オケル デントウテキ ノウギョウ スイリ ソシキ ノ トクシツ ヒロシマケン カモグン クロセチョウ オ ジレイ ト シテ

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説明

黒瀬町のため池台帳の分析を通じて、ため池潅漑地帯における伝統的水利組織の実態や特質を明確にしようとした。水利施設としての池の存在状況に加えて、池を利用・管理する水利集団についても考察した。黒瀬町の池総数は447であった。水田10ha当たりの池数は約5カ所に達し、農家1戸は平均3~4カ所の池と関係を持っていた。ただし大部分は小規模な池で、池1力所当たりの平均的規模は貯水量3,330m3、受益面積6.94ha、受益戸数13.7戸にすぎない。ため池の存在状況には地域差が認められるが、どの地区においも、ため池水利の中核は比較的規模の大きな共有池であった。各地区の共有池は江戸期から現在に至るまで、地縁単位の共同性を基礎とした水利集団によって維持管理されてきた。共有池の大部分は良好な施設状態にあり、水利集団による共同作業の継続が確認できる。昭和57年(1982)作成のため池台帳には、歴史的に継承されてきた水利組織の強固性が色濃く反映されていた。

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