アドラー心理学から読む『宙ぶらりんの男』 : 思考の袋小路からの転換を求めて

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書誌事項

タイトル別名
  • Revisit the Inner World of “Dangling Man” through the Scope of Adler’s Individual Psychology
  • アドラー シンリガク カラ ヨム チュウブラリン ノ オトコ シコウ ノ フクロコウジ カラノ テンカン オ モトメテ

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説明

ソール・ベローの『宙ぶらりんの男』には、精神分析的思索に自己救済の糸口を求める、主人公ジョウゼフの内面世界が赤裸々に描かれている。その姿は、現代の私たちが「本当の自分」を求め、ただならぬ関心を心理学に寄せる姿にも重なる。昨今の心理学ブームの背景にあるのは、日常生活に支障をきたすほどではなくても、「自由になった」心と自己をもてあます人の増加だろう。この論考では、精神分析的思索の限界を顕在化させ、それを打ち破る手法として、トラウマを否定するアドラー心理学に注目する。具体的には、フロイトの原因論を批判し、より実践的な人間救済を目指したアドラーの個人心理学を軸に、改めて主人公ジョウゼフの内的葛藤について考え、思考の袋小路からの転換を模索する。それはきっと、自己への関心に取りつかれながらも、自己をもてあます現代の私たちに、何がしかの生きる手がかりを与えてくれるのではないだろうか。

収録刊行物

  • 研究論集

    研究論集 108 21-33, 2018-09

    関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部

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