トマス・ハーディの『日蔭者ジュード』 : 登場人物を通して見るイギリスとオーストラリア

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タイトル別名
  • A Study of Thomas Hardy's Jude the Obscure : The Main Characters Analyzed
  • トマス ハーディ ノ ヒカゲモノ ジュード : トウジョウ ジンブツ オ トオシテ ミル イギリス ト オーストラリア
  • トマス・ハーディの『日陰者ジュード』 : 登場人物を通して見るイギリスとオーストラリア

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抄録

本論では、19世紀イギリスとオーストラリアとの国際関係や、イギリスの実情を言外に表出している『日陰者ジュード』の登場人物たちの人間模様を検証していく。イギリスとオーストラリアにおいて、アラベラがジュードとカートレットとの間で繰り返す結婚や別れは、本国イギリスの覇権主義を批判し、植民地オーストラリアを高く評価するハーディの見方を明らかにするものである。また、オーストラリア人のリトル・ファーザー・タイムを息子として迎え入れるイギリス人のジュードとスーの同棲婚は、イギリスとオーストラリアによる、友好的で対等な関係を構築しようとする国同士の試みに読み替えることができる。しかし、ハーディはこの同棲婚の終わりに、両国の共生の難しさを描出していると思われる。このようなところから、登場人物たちが織り成す人間関係は、ハーディが読み取ったイギリスとオーストラリアの関係性を代弁していると考えられるのである。

収録刊行物

  • 研究論集

    研究論集 99 21-37, 2014-03

    関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部

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