チュルク諸語における移動を表す動詞 (ket-(git-), bar-(var-)) の意味の違い

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タイトル別名
  • Differences in the Meaning of Movement Verbs (ket-(git-), bar-(var-)) in the Turkic Languages
  • チュルクショゴ ニ オケル イドウ ヲ アラワス ドウシ ket- git- bar- var- ノ イミ ノ チガイ
  • チュルク ショ ゴ ニ オケル イドウ オ アラワス ドウシ(ket-(git-), bar-(var-))ノ イミ ノ チガイ

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抄録

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チュルク諸語 (Turkic Languages) は、現在ではカザフ語、トルコ語等、別々の名称で呼ばれているが、一つの祖語から分かれた同系の言語である。チュルク諸語間に見られる言語的な違いは、比較的少なく、近縁の言語間においては相互理解が可能なことは否定できないが、違いが見られることも事実であり、それらの違いを無視することはできない。したがって、どのような違いが見られるかということを記述することは重要であると考えられる。とりわけ、一見同じように見えるが詳しく見ていくと実は違う、といった言語現象の記述は重要であると考える。このような中で、本研究では移動を表す動詞の一例 (bar- (var-), ket- (git-)) をチュルク諸語に属する言語、具体的には、エスキシェヒル・カラチャイ語、トルコ語についてとりあげた。これらの動詞には微妙な意味の違いが見られるが、その違いを分析した研究、特に比較的最近の言語学にもとづく枠組みで理論的に分析・記述したものはこれまで全くと言っていいほどなかった。そこで本研究では、それらの動詞に見られる微妙な意味の違いをフロンティア的に記述することを試みた。方法的には、これらの動詞に関するデータをフィールド言語学的手法により母語話者から直接採集し、得られたデータを比較的最近の言語学の枠組み、具体的には語彙概念構造 (Lexical Conceptual Structure: LCS) と、主事象 (head ivent) という考え方にもとづいて、時間を表す副詞的修飾語との共起関係を重視して分析した。本研究の結果、とりあげたチュルク諸語に見られる移動を表す動詞に見られる意味の違いは、語彙概念構造上におけるどの事象が主事象として語彙情報として指定されているかによって説明できることが明らかになった。

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