The Formation of 'Ie' as a Japanese Traditional Family/Quasi-Family System

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  • 日本の伝統的家族・擬似家族システムとしてのイエの形成
  • ニホン ノ デントウテキ カゾク ・ ギジ カゾク システム ト シテ ノ イエ ノ ケイセイ

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日本の文化・社会の特性を理解する上で鍵となる「イエ」の成立と変遷の過程を,家族システムという観点から明らかにした。イエは,「職業と財産が直系的に継承される家族・擬似家族システム」と定義される。古代日本の母性優位の平等核家族に,7世紀末に中国から地位の直系継承の観念がもたらされ,9世紀には親族組織(ウヂ)による官業の直系継承が広がった。11世紀前半に摂関藤原氏の「道長―頼通」父子において,地位と結びついた私有財産が形成され,それが直系継承されることで,絶対核家族のイエが成立した。財産を伴うことで地位継承を安定化できるイエは,11世紀後半から12世紀代に天皇家・公家・武家,14世紀後半に有力農民層へと広まり,寒冷化が進行する中での生産性維持に適合的であるため小農民層にも普及した。その過程で,選択的な分割相続から単独相続へと移行する傾向が強まり,イエは,畿内を中心に隠居慣行を伴う父方・新居住の絶対核家族となった。さらにイエは,19世紀初頭の東北日本で直系家族が主流となった。これは,小氷期のピークがもたらした人口減少への対応として,二世代の夫婦が同居することで家族内の労働効率を最大化する方策であった。このような家族システムの変遷にもかかわらず,イエから母性優位性が失われることはなかった。

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