キヤノンによる東芝メディカルシステムズの買収

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  • Acquisition of Toshiba Medical Systems by Canon
  • キヤノン ニ ヨル トウシバ メディカル システム ズ ノ バイシュウ

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抄録

キヤノンは近年のIT技術の進化やオフィス環境の変化に伴い,従来製品の売上が伸び悩み,この10年は企業成長も停滞している.その原因は1970年代以降,その事業構造が基本的に変化しておらず,製品市場のほとんどは成熟化していることにあった.一方,東芝は東日本大震災後の世界的な原子力発電所建設の見直し機運の高まりの影響から業績が急速に悪化していた.キヤノンによる東芝メディカル買収は新たな成長産業への進出を可能にし,東芝にとっては債務超過を回避する有効な手段でもあった.キヤノンは東芝メディカルを6,655億円で買収したが,その額は同業種類似企業の株主価値から類推しても著しく高い買い物であるといわれた.しかし,本研究でDCF法による評価を行った結果,世界の医療機器市場の将来性やキヤノンと東芝メディカルとの間のシナジー効果を織り込めば,必ずしも高い買収価額ではなく,キヤノンの戦略には妥当性があることが検証された.

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