現代文学が語るもの 東野圭吾『分身』論

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タイトル別名
  • What Contemporary Literature Says : A Study of Keigo Higashino's "Other Self"
  • ゲンダイ ブンガク ガ カタル モノ ヒガシノケイ ゴ ブンシン ロン

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説明

文学は時代を映す鏡である。いささか使い古された言葉ではあるが、これこそ、ひとつひとつの作品を読み終えるたびに改めて認識する概念でもある。古い文学の中に古き時代が映し出されているように、現代にあふれるさまざまな作品にも、今ある時代や社会を反映した、いくつもの切片が浮かび上がる。それらを分析することも、現代文学を味わう一つの醍醐味ともいえるだろう。今回取り上げる東野圭吾もまた、その格好の例のひとつである。東野は、『放課後』でのデビュー以来、多くのファンを得、先頃は『容疑者Xの献身』により第一三四回直木賞も受賞した。東野作品というと、読者は、そこに散りばめられたミステリのもつ謎解きの魅力に引きずられ、そのストーリーの流れに集中するが、ここには、また現代が示すさまざまな問題を、実に明確に読み取ることができる。作品に潜むのは単なる娯楽性のみではない。そうした視点から、改めて作品に映し出されている「現代」的切片を検証する。

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