宋太祖趙匡胤をめぐる清朝宮廷連台戯《論文》

説明

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宋の太祖趙匡胤は,清朝宮廷で演じられた連台戯の主人公として,最も多く登場する人物であるといってよい。現存する関連する連台戯のなかで最も整っているものは『盛世鴻図』と題される連台戯であるが,このほかにも『欣見太平』、『太平福』、『下南唐』、『下河東』、『黙麒麟』といった連台戯の一部が現存しているし,『勝龍寺』、『風雲会』、『定太平』などの単齣戯も残されている。宋の太祖趙匡胤がかくもしばしば清朝宮廷連台戯で取り上げられたのはなぜか。『盛世鴻図』は,成立時期を異にする,趙匡胤の無頼の時代を演ずる,第十段を欠く前半十三段九十六齣と,皇帝即位後の南唐征伐を演ずる後半六巻七十齣とからなっているが,中間の後周,とりわけ義兄とした世宗柴栄に仕えた時期を対象とする部分を欠いている。これに対応する連台戯が『欣見太平』であり,『下南唐』、『下河東』であるのだが,それらの多くの部分が失われ,『盛世鴻図』にあっても前半第十段が失われたのはなぜか。そもそも趙匡胤を主人公とする物語は,連台戯として演ぜられる以前にあっても,宋代には「小説」として盛り場で語られ,元代には雑劇としても演ぜられていたし,明代にあっては『南北宋志伝』、『楊家府世代忠勇演義』といった小説ともなっていた。清朝にあっても,乾隆年間には『飛龍全伝』と題する小説が刊行されたし,清末にかけ,鼓詞や木魚書といった説唱文学として語られ,京劇などでも演じられたが,ひとつとして同一の情節のものが存在しないといっても過言でないほどにさまざまに変容をとげている。本論は,こうした疑問に答え,上述の変容がいつどのような過程をへて生起したのか,それを生じさせたダイナミズムは何かなどにつき,現存する関連作品を読み込むことにより明らかにしようとしたものである。宋太祖赵匡胤可以说是最常作为清朝宫延连台戏的主人公的角色了。现存相关的连台戏戏本中最完整的当属名为《盛世鸿图》的。除此之外,名为《欣见太平》、《太平福》、《下南唐》、《下河东》、《默麒麟》的戏本的一部分,以及名为《胜龙会》、《风云会》、《定太平》等単出戏本仍幸存于世。为什么在清朝宫廷的连台戏中会常常演出宋太祖赵匡胤的故事呢?原来《盛世鸿图》以成立时间不同的两个部分构成。其一,演绎属于赵匡胤的无赖时代的前半十三段九十六出(已佚第十段),其二,演绎赵匡胤即帝位后南唐征伐的后半六卷七十出,而其中缺少了出仕的后周时期,特别是赵匡胤服侍其义兄世宗柴荣的部分。与此相对应的连台戏有《欣见太平》、《下南唐》以及《下河东》,但是这些戏本残缺很多,加之《盛世鸿图》亦缺少了前半的第十段,这到底是因为什么呢。早在连台戏本出现以前,以赵匡胤为主人公的故事就在宋代作为“小说”在瓦市讲唱,在元代作为杂剧被演绎,在明代也有《南北宋志传》、《杨家府世代忠勇演义》的小说出现。即使是清朝,乾隆年间亦有名为《飞龙全传》的小说发行,清末更是在有鼓词、木鱼书等说唱文学以及京剧都有演绎关于赵匡胤的故事。即便如此,几乎可以断言其中都没有出现任何完全相同的情节,正是这样赵匡胤的故事经历了许许多多的变迁。本文的目的正是想通过对现存相关作品的解读,对这一类的问题作出解答, 并对变化产生的过程以及促使变化出现的原因进行分析。

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