帝国の終焉 ― スパルタ帝国の解体の最終プロセス ― (三)

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タイトル別名
  • Collapse of Empire: the Final Process of Demolition of the Spartan Empire (3)
  • テイコク ノ シュウエン ; スパルタ テイコク ノ カイタイ ノ サイシュウ プロセス サン
  • 帝国の終焉--スパルタ帝国の解体の最終プロセス(3)
  • テイコク ノ シュウエン スパルタ テイコク ノ カイタイ ノ サイシュウ プロセス 3

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抄録

スパルタの覇権がレウクトラ以降解体していく政治過程を分析した。スパルタと同盟諸国、スパルタと正面から対立し自らの影響力を中部ギリシアやペロポネソスに拡大しようとしたボイオーティア、ペロポネソスにおけるスパルタの伝統的な競争国アルゴス、テーバイの台頭に不信感を募らせスパルタとの提携に傾いていったアテーナイ、の外交行動の分析を通じてその背後にある党派の問題を解明しようとした。スパルタと同盟諸国を結び付けていたのはそれぞれの政治指導者間の個人的な友情と同志意識、民主派に対する敵意と民主革命に対する恐怖感の共有であった。スパルタが民主派に対する安全を保障している限り、スパルタの覇権のもとにあることは意味があった。しかしレウクトラ以降スパルタがそのような保障を提供し得なくなった時、同盟諸国は独自に安全保障の道を模索するようになる。そのことが同盟と覇権の解体をもたらしたのである 。 スパルタの能力の欠如が帝国の解体の原因であった。ボイオティアではエパメイノンダスの政策に反対するメネクレイダスが緊張をもたらしていたし、アルゴスではスキュタリスモスの革命騒ぎによって大混乱が生じていた。アテーナイでは重要な政策を指導したのはカッリストラトスであった。彼はテーバイへの不信からスパルタとの提携を推奨し、スパルタとの連携によってテーバイを抑制しようとしたのである。

収録刊行物

  • 社会科学

    社会科学 (77), 17-44, 2006-09-30

    同志社大学人文科学研究所

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