クリーブランド大統領による銀購入法撤廃 : 政策の選択肢と政治的リーダーシップの関係の考察

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  • Repeal of silver purchase act by president Cleveland : a note on policy options, calculus of consent, and political leadership
  • クリーブランド ダイトウリョウ ニヨル ギン コウニュウ ホウ テッパイ : セイサク ノ センタクシ ト セイジテキ リーダーシップ ノ カンケイ ノ コウサツ

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抄録

19世紀の米国では、南北戦争後に実体経済は高い成長率を記録したが、政府発行紙幣の金兌換を回復する過程で通貨ストックの伸びは抑制され、深刻な物価下落が発生した。農産物価格低迷に苦しむ西部・南部の農民を中心に多くの国民が困窮を極め、通貨量増加への要求は銀産出州の利害と結びついて、通貨制度における銀の役割拡大を求める自由銀運動に集結した。自由銀運動は銀購入法を成立させることに成功するが、それは米国の通貨制度への信頼を揺るがすことであり、金の国外流出、連邦政府が保有する金の減少を引き起こした。国民経済の発展の基礎は健全な通貨制度であると考えるクリーブランド大統領は、自らが所属する民主党からの激しい反発を乗り越えて銀購入法を廃止し、金本位制度の確立に道を開いた。本稿はクリーブランド大統領による米国通貨制度発展における重要な政策決定-銀購入法の撤廃-を検討することで、政策の選択肢の拡大が政治的リーダーシップに与える影響を考察する。政府の役割の拡大は、そこで行われる意思決定のプロセスに影響を与え、それはさらに社会が必要とする指導者のありかたをも左右することが議論される。

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