パウロの倫理思想に関する研究の概観と問題点について

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タイトル別名
  • A survey of studies on Paul's moral reasoning, and a proposal
  • パウロ ノ リンリ シソウ ニカンスル ケンキュウ ノ ガイカン ト モンダイテン ニツイテ

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抄録

パウロの倫理思想に関する従来の研究は、彼の人間論、共同体論(教会論)、宇宙論、黙示思想的終末論を個々に取りあげ、終末論と倫理との不可分の関係も考察してきた。しかし、神学と倫理の区別、個人に特化した倫理観、神と自然(宇宙)を区別する存在論的二元論の影響のために、人間論、共同体論(教会論)、あるいは宇宙論のどれかひとつに傾倒し、それら各論が重層的な関係のなかで展開していることに十分な注意を払うことができなかった。この研究状況において、1コリント書は、人間論的、共同体論的、宇宙論的関心が顕著であり、それらが黙示思想的終末論に基づいて展開しており、重要なテキストである。今後、この書簡を中心に考察を行い、何がパウロの倫理思想において本質的な原理として機能しているかを解明する。その際、古代の病因学に関する思索や観察(ヒッポクラテス、エンペドクレス、プラトン、ヘレニズム哲学者、ガレノスなど)は、人、共同体、自然(宇宙)の三つの文脈の重層性と相互影響を吟味する上で示唆に富み、有益である。

収録刊行物

  • 基督教研究

    基督教研究 80 (2), 1-14, 2018-12-13

    基督教研究会

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