睿親王の人物素描 : マルチニ著「韃靼戦記」を本として

書誌事項

タイトル別名
  • エイシンノウ ノ ジンブツ スガキ マルチニ チョ ダツタンセンキ オ ホン ト シテ
  • エイシンオウ ノ ジンブツ ソビョウ マルチニ チョ ダッタン センキ オ ホン トシテ

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説明

一、はしがき : 清初睿親王多爾袞の功績の大なることは、何人も異存のない所であろう。殊に幼主順治帝を輔佐して入関に続く北京定鼎をなしとげ、以後数年間に中国王朝としての清朝の国礎を定めたことは、全く睿王独りの勲功といってよく、清史に於ても赫々たる事蹟の一つに外ならない。無論この北京定鼎は李自成による明朝の滅亡と呉三桂の請援という予期せぬ事件が起生した時期を巧みに把握して、明の社稷を盗取したといえぬ事もなかろうが、併しかかる二度とない時期を明察して神速果敢に処理し、用兵よく北京を乗取ったことは、国家対立抗争の際には避けられぬ運命であると共に、又之を遂行した点に睿王が常人の考え及ばぬ勝れた才能手腕を有したことを知るべく、その万人に優れた明敏・果断なる性情が偶々かかる政治的効果を齎らしめたに外ならないと思う。……

収録刊行物

  • 人文研究

    人文研究 8 (9), 1006-1023, 1957

    大阪市立大学文学会

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